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yuki




『巡り』
いつしか奈良公園を「巡る」ようになりました。
なぜ鹿を撮るようになったのか、なぜ通うほどに引き込まれたのか…
今回の展示は、私の心と鹿と奈良の「巡り」ゆく日々の記録です。
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仕事に追われ忙しなく過ぎる日々、
奈良公園へ行くと出会う鹿たちはびのびと生活しているように見え
人と共生しながらも自分のペースで過ごす鹿たちの姿に憧れを抱きます。
夜明けが遅くなってきたある日、早朝から行くことにしました。
人のいない静かな朝は自然の音と鹿の声が響きます。
奈良公園を照らすひかりは神々しく、凝り固まった心を溶き解してくれます。
通い始めた頃は午前中に行けたらいいやと思っていたはずなのに、早朝から行くのが当たり前になりました。
桜が散り、新緑が美しくなる頃に子鹿たちは誕生します。
この世に生まれて数時間で立とうとする子鹿の姿、何度もこける姿を愛おしく見守る母鹿の姿に尊さを感じます。
私たちにできることは離れた場所から静かに見守ることです。
季節が移ろいゆく中、天候の変化とともに鹿たちは姿を変えていきます。
春の鹿は冬毛から夏毛へと生え変わり、なんだかボサボサな姿をしている。冬の鹿はふわっとした冬毛の姿。
牡鹿は春から秋にかけて少しずつ角が伸びていきます。年を重ねれば人と同じように鹿も老いる。
そんな姿を奈良の美しい景色とともに追いかけるようになりました。
自然環境、人との生活で変わりゆくもの、それは鹿にとって悪いものもある。
鹿たちにとって住み良い環境がこの先も続くように、願いを込めて撮り続けます。
卒展を終えて
『TRANSIT』お疲れさまでした。
私たちだけでなく、ご来場いただいた皆様にとっても通過点になったでしょうか?
展示のテーマを決める際に、「30期は我が道を行く人の集まりだね。」なんて話した記憶があります。14人で作り上げた空間は癒しでしかなくて、いつまでも見ていたかったです。
写真に対する向き合い方は人それぞれで、だからこそamuで交わった時間はとても貴重なものでした。今後もそれぞれの道を進みながら、時に交わる…そんなふうに続いていけばいいな〜なんて考えます^^
今回は皆様にとっても通過点という事で、ご覧いただいた方々の心に響くような作品を目指しました。
最初はメインのツノ鹿さん1枚だけの展示を考えていたのに、ある展示を見に行ったことをキッカケにギリギリで枚数を増やして、直前まで展示準備に追われる事態に…笑
でも、奈良公園とそこで生活する鹿さんの魅力を壁一面に展示させていただき、手を抜かずにやり切ってよかったです!
私の作品を見て、鹿さんに会いに行こうと思っていただける方が1人でもいてくだされば嬉しいです。
こんな素敵なメンバーで展示をできる機会をいただきありがとうございました!